法人あげおNo.169
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 かれこれ10年以上も前から人工知能(AI)が導入されれば税務署の職員も税理士も不要になると言われてきた。 ある日、現職であった私はある企業に税務調査に行くことになった。事業概況、収入、支払関係及び給与などの管理についてヒアリング。すると全てパソコンがやっているという説明。??。システムで収入と外注も含めた支払いを管理し、そのシステムからクライアントに請求書を発行。銀行の預金もシステムと連携しているため入金があれば請求書と相手先と金額を突き合わせ「入金してますよ」とのメッセージ。また、支払いも預金を通すため預金の出金と支払先への決済もリンクしてくれる。従業員の勤怠管理も各自がスマホや自分の使っているパソコンから出退勤を記録すると1か月分をシステムが集計し、残業代、社会保険、源泉税などを計算し、支払額を算出。これらの取引全てシステムが仕訳を起こしてくれるという説明。それでは、現金での支払いは?と聞いたところ、スマホでレシートを写メで撮れば、システムが内容を判断し、仕訳を起こしてくれるとのこと。以上の作業を一人の社員が営業の傍ら、担当しているとのこと。システムの使用料は、₁か月にしては安い金額だなと思ったものの、₁年間の金額だと聞いてさらに驚く。このシステムを導入することによって₅人の経理担当が要らなくなり、そのマンパワーを本来業務に投入できたという夢のような話。関与税理士は東京の先生であり、個人事業主を中心に、AI会計の導入が進んでおり、いろいろ調べて自分も導入した由。 法人課税課も含め国税職員はこのシステムの存在について、誰一人として知る者はなし。 さて、以上見てくるとどこかの営業のような説明だが、本題はここから。 去る2021年、デジタル庁が発足し、昨年春、「Peppol(ペポル)のワーキンググループを立ち上げ」というニュース。曰く、海外ではB to B間の受発注業務のほか決済業務などもPeppolという国際規格の統一システムで行っており、この受発注から決済までの流れはそのまま経理データとして活用しているといったもの。そこで、日本でもPeppolを導入するためワーキンググループを立ち上げたというのである。構成員は税理士に会計決算システムなどを提供している大手ベンダー₂社、AI会計を先行している₂社、全国銀行協会。さらに驚いたことにこの日本版Peppolは2023年10月₁日からの運用を目指すというもの。今年の10月₁日と言えば、インボイス制度の導入と同じであるが、インボイス制度の導入ほどは話題になっていない。 今後、電子帳簿保存法の義務化、業者間のPeppolの導入と進んでくれば、皆さんの会社もいずれこのPeppolをどうやって導入するか問われることになってくると思います。 意外とデジタル化の波はすぐそこまで来ているということです。関東信越税理士会 上尾支部広報部長 須藤 和英税理士談話− 8 −デジタル化のすすめ

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