法人あげおNo.161
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− 8 −税理士談話質的減塩運動のすすめ 私の出身地は長野県である。お国自慢ではないが、出身地の取り組みについてご紹介したい。 長野県特産の食べ物と言えば、「野沢菜漬け」があげられる。今や近所のスーパーでも購入することができるが、長野県へ旅行に行った方なら必ずどこかで一度くらいは食べたことがあると思う。シャキシャキとした食感と程よい塩辛さが好評である。 私が幼いころは、三度の食卓とお茶請けに必ずと言っていいほど山盛りにされて出されていたが、その味付けは今では考えられないほど塩辛く、そのうえ味の素や醬油までかけて食されていた。 ご承知のとおり、塩分は高血圧の元凶と言われている。高血圧による脳出血が死亡原因の第1位であった戦後の日本では、食事で摂取する塩分が高血圧の大きな原因であった。それゆえに、日本全国で減塩運動が始まった。 しかし、減塩運動には大きな落とし穴があった。最も大きな盲点であったのが、この減塩運動が「塩の量」のみに着目して「塩の質」に無頓着であったことである。 塩は精製塩と天然塩に分類され、その大きな違いはカリウム、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が含まれているかどうかである。天然塩は、ミネラル成分が豊富に含まれ健康に良いが、精製塩は、それがほとんど取り除かれているので、過剰に摂取すると健康上問題がある。 中でもマグネシウムは、欠乏すると高血圧や細胞老化の原因になる。綱紀監察部長 山田順司 興味深いことに、沖縄県に代わって平均寿命が男女とも日本一(平成22年)となった長野県は、従来の減塩運動が必ずしも成功しているわけではない。 長野県は、味噌の消費量が日本一(令和元年は2位)で、塩分摂取量に占める味噌の割合が高く、量的減塩では課題は残るものの、質的減塩で健康長寿を達成することができたといっても過言ではない。 長野県のホームページでは、健康長寿の要因として減塩運動だけでなく、65歳以上の就業者割合が全国1位(平成27年)で生きがいを持って生活している(単に就業者が高齢化しているだけかもしれないが?)ことや、野菜摂取量全国1位(平成28年)などもあげられている。 結果として、県民1人当たりの医療費も低い方から16番目(平成28年)となっているが、なんとこの年(平成28年)の県民1人当たりの医療費は埼玉県が1番低い。 私も高血圧症の薬を服用しているが、会員の皆さま方も高血圧症の方がいらっしゃると思う。健康を維持するため、単なる量的減塩ではなく、質的減塩、つまり味噌、塩こうじや天然塩を上手に使うことにより、健康的に塩分を摂取する減塩運動を心がけたい。 最後になりましたが、コロナ禍が1日も早く終息し、上尾法人会並びに会員企業が益々ご発展しますことと、会員、ご家族の皆さま方のご健康を心からお祈り申し上げます。

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